ベース弦 新品と3か月後の出音の変化(経年劣化)

前回弦を張り替えてから3か月ほど経ちましたので、つい昨日弦を張り替えました。
使用弦はリチャードココのニッケルラウンドワウンド弦 (RC 5 CN) です。

一般的に、使っていくうちに高音域が失われていくと言われていますが、具体的にどの周波数帯に変化があるのか
せっかくなので、張り替え前後で比較をしてみました。

Finger Style

まずは同じフレーズをノンエフェクトで録音していきます。

・1st day

・3 months later

かなり変化を感じますね。
1st dayの方は所謂ブライトなサウンド、3 months laterはモコモコしたサウンドとなっています。

続いて、アナライザで周波数を見ていきます。
WavesのPAZ Analyzerを使用しました。
まずは “RMS検出” で上記音声を再生した後の各周波数のMax値を比較した結果が↓の通りです。
(RMSとは、「人間が聴覚上感じる音量」のようなものです)

ー Blue ・・・ 1st day
ー Orange ・・・ 3 months later

・RMS検出

3 months afterの方が大体1kHz以降から落ち込んでいる印象です。
低域~中域はほとんど変わりませんね。

“Peak検出”でも同じように測定してみました。

・Peak検出

やはり、高周波数帯は3 months afterの方がから落ち込んでいるものの、全く鳴っていないわけではなく多少は出ています(ノイズもあるとは思いますが)。

ということで、超ざっくりですが、3 months afterの1kHz以上の周波数帯を大胆に5dB上げて、新品の音を再現できるのか試してみましょう。
↓EQを使って、1kHZ以上をハイシェルビングでブーストします。

・3 months later (with High Boost)

ー Blue ・・・ 1st day
ー Orange ・・・ 3 months later (with High Boost)

・RMS検出

・Peak検出

多少1st dayの音に近づけることができました。
ただ、このように高域をブーストしてしまうとノイズも増幅してしまいますので、当然音質的には新品の方が有利です。

また、ロングトーンに関して1st dayの方が常時ブライトな感じですが、3 months laterは高域の減衰が速いような気がします。

Slap

Slapでも同様に比較してみます。

・1st day

・3 months later

明確に差を感じます。どちらが良い・悪いということはありませんが、1st dayの後に3 months laterを聴くとだいぶ雲に隠れたような印象を感じます。

ー Blue ・・・ 1st day
ー Orange ・・・ 3 months later

・RMS検出

・Peak検出

4kHzあたりから差異があるように見えます。
ざっくりと3 months laterの4kHZ以上をブーストしてみましょう。

・3 months later (with High Boost)

ー Blue ・・・ 1st day
ー Orange ・・・ 3 months later (with High Boost)

・RMS検出

・Peak検出

アナライザ上はかなり差をなくすことができたように見えますが、聴覚上の差は依然大きく感じます
1st dayのプル音の方が明らかに高域が出てますよね。
今回はやりませんでしたが、フレーズではなく単音で弾いてみて(スラップならサムピングとプルでも分けて)検証すると違いがより分かりそうです。

Summary

新品と3か月後の弦を比較して、以下のことがわかりました。
・通説通り、3か月後の方が高域が出なくなる
スラップの方が違いが顕著かも
・特にプルにおいて、3か月後では出せない高周波数帯域がありそう
・音の減衰において、新品よりも3か月後の方が速いかも?(要検証)

今回は思いつきでざっくりな検証結果となってしまいましたので、次の課題として下記を思いつきました。
・スタッカートとロングトーンで音の減衰の仕方に違いがあるか
・単音を鳴らして、第何倍音から違いが生じるか
・低フレットと高フレットで違いがあるか
・1~4弦で違いがあるか
・他の弦ではどうか?(コーティング弦の方が劣化が遅そうなので)

以上です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. ジェフ より:

    楽しく拝見させていただいています。
    往年のスタンダードを多くカバーされている事と、大変有意義な情報と作業に敬服します。
    ちょっと古い話で聞いたこともあると思いますが、古くなった弦をお湯で煮ると、中に入った油脂や細かい皮脂が追い出されて、明るさを取り戻すことが出来ると聞いたことがあります。
    具体的に何分かは実験で試してないですが、一時期、ロングスケールの5弦37″が入手できなかった時にやった記憶があります。(Dingwall ZのNovaxフレット)
    煮た直ぐ後は明るくなりましたが、なんでしょう、数日経ったら、元に戻ってしまいました(笑

    • bernard より:

      ジェフさん
      コメントありがとうございます。^^
      古い弦を煮る話、聞いたことがあります。やはり、明るくはなるのですね!
      「切れやすくなる」という意見も聞いたことがあるのでリスクはありますが、収録やライブ前等でその場しのぎにはなるかもしれませんね。
      私は「James Jamersonはほとんど弦を張り替えなかった」という話を聞いて、ラウンドワウンド弦にも関わらず3~4年ほど張り替えずに使っていたことがあります。
      見た目は少し錆っぽい感じになりましたが、コーティング弦というのもあってか割と普通に使えていた記憶です。
      そして、その後張り替えたらいたく感動したわけでございます。笑

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